変わり続けるビジネス環境で生き残るために個人と企業が目指すべきこと

11月26日に首相官邸で行われた就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォームで、安倍晋三首相はかねてより推進するリカレント教育の重要性について言及した。政府が「学び直し」を推進するのは、雇用強化のみならず、社会人一人ひとりのキャリアアップや生産性向上につなげたいねらいがある。

いま、企業の人材育成は転換期を迎えている。従来の、教える側が責任を持って教えこむスタイルの人材育成は、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変わる時代に対応できない。刻々と状況が変わるなかで、自ら学ぶべきことを見出し、進んで学んでいく姿勢を持つ人材を育てていかなければならないだろう。では、そういった人材はどう育てれば良いのか。

20年以上にわたり、大手企業を中心に企業の人材開発を数多く手がけてきた株式会社セルムの加島禎二氏が、令和時代に有効な「個人と企業が目指すべき学び方と育て方」を提案する。

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1.これからの学び方・育て方とは 自発的な動きを起こし、後押しすること

【写真はイメージ】Keith JohnstonによるPixabayからの画像

今、「社会人の学び直し」が、個人にとっても企業にとっても重要なキーワードとして挙げられています。「社会人の学び直し」とは、新しいビジネスへの対応や、ますます長くなっていく職業人生を支えるための新しい知識やスキルを学ぶこと、と捉えられているのが一般的です。しかし、知識やスキルだけでは、これからのビジネス環境に対応しきれないように思います。

今のビジネス環境は変化が常態化しています。刻々と局面が変わり、1つのビジネスの寿命もますます短命化していくはずです。そんな状況の中では、自分たちは何をしたいのか、どうすればいいのかを探りながら、どんどん既存のやり方を変化させていくことが唯一の成功条件となるはずです。

ですから私は、これから必要な学び方・育て方とは、目的や課題設定を自ら行い、進む道筋を探りながら進んでいく探索的な学びをおこし、いかにそれを持続させるかということだと考えています。

知識やスキルを学ぶのであれば、ある程度受け身でもいいのですが、探索的な学びとなると、個人が自発的にやりたいと思わない限り、何もスタートしません。ですから、個人は学ぶということを捉え直さなければいけません。一方で企業側も、ミドルマネジメントの変革を始め組織・人材開発マネジメントのあり方を変えていく必要があります。

2.【個人】自分を、変化を起こせる人材にする

【写真はイメージ】skeezeによるPixabayからの画像

まず、個人は自分の価値を高めるために行動すべきです。自分の価値を高めるとは、自ら学び、その結果として変化を起こしていける人材となることです。

既存の枠から少しはみだす

自発的な学びは、何かに夢中に取り組む中でしか起きないと言われています。何に、いつ夢中になるかは人それぞれです。ですが、人が夢中で取り組む状況には共通点があります。

例えば中高生の頃などに、それまでの自分の枠から少しはみだした行動を起こした時、ドキドキワクワクした記憶を持っている人は多いでしょう。少し不安だけどやってみたい!そんな気持ちで夢中で取り組んだのではないでしょうか。

つまり、自発的な学びが起きる共通の状況の一つは、今の業務からはみだして何かを企むような行動を起こすことです。組織側が用意した場だと、どうしても仕事として責任や成果を求められるようになり、ドキドキワクワクする気持ちが減ってしまいがちだからです。

とはいえ、自ら枠からはみでた行動を起こしさえすれば、必ず学びが起きるというわけではありません。例えば、外部の交流会にたくさん出席していても、ただ名刺が増えるだけという人も多くいます。それは、その人の中に、会った人に訴えるような軸となる想いがないためでしょう。

「自分はこんなことを考え、行動を起こしているが、こんなことに悩んでいる。」そんな、その人なりの軸や課題が相手に見えると、周囲は「この人はこんな人なんだ」という「タグ付け」をします。それがなければ、会った人からチャンスが巡ってくることはないでしょう。この点は、よく自覚しておく必要があります。

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