採用サイト制作の適切な費用を理解し依頼するための6つのポイント
採用サイトを作るときの費用相場の幅が広すぎて、どれくらいの価格帯の会社に頼めば良いのか分からない採用担当者の方が多いのではないでしょうか? この記事を読んでいただくと、費用とサービス内容の関係性・構造が分かり、採用サイトを制作する目的に合致した価格帯や会社が分かるようになります。採用支援会社としてお客様の採用課題と向き合い、支援の一環として成果につながる採用サイトを長年にわたり制作してきた立場から解説します。
前半では、採用サイト制作の費用に幅があることの背景や仕組みを解説した上で、採用サイト制作にかかる費用を3つの価格帯として分類し、価格帯ごとの特徴やサービスと相性が良い会社をご紹介します。後半では、成果をあげるための採用サイトにおける予算の考え方、会社選びの方法をお伝えします。最後まで読んでいただければ、自社の目的に合った採用サイト制作費用が分かり、適切な予算を組めるようになります。
目次
1.採用サイト制作の費用相場の実態とは?
採用サイトの制作費用の相場をWebで検索すると無料~150万円の価格帯とするページが散見されます。ただし、採用サイトによって母集団の質を高める、歩留まり率を上げる、といった成果を出すためには150万円では足りないケースがほとんどです。まずは、実態が見えづらい採用サイト制作の費用相場について解説していきます。
価格帯は無料から数百万円まである
採用サイト制作費用の価格帯は幅広く、無料で作れるサービスもあれば、数百万円以上、中には1,000万円以上かかるサービスもあります。
例えば、無料で有名なサービスといえば「engage(エンゲージ)」「AirWORK 採用管理」などがイメージしやすいでしょうか。専用フォームに必要情報を記入すれば、デザインテンプレートにその内容が反映され、短時間で簡易的な採用サイト風ページがほぼ自動的に作れます。
一方で数百万円かかる場合は、0からサイトを構築します。サイトのコンセプトやデザイン、コンテンツのライティングなども対応してもらいます。無料サービスのようにページ数も制限がなく、10ページ以上制作するケースがほとんどです。
サイト制作の対応範囲に応じて費用相場も変動する
採用サイトの制作費用は、対応範囲が広くなるほど高額になります。例えば、engage(エンゲージ)のような無料作成ツールは、サービス提供社側に個別対応がほぼ必要ない仕組みとなっているため、無料でも運用できています。一方で、0からサイト構築する場合は、システム構築やデザイン、ライティングが必要となり、その分の費用がかかります。より成果にコミットするサービスだと、サイト制作前に採用課題を整理して、その課題に応じたサイト・コンテンツを企画する、といった準備工程を設けています。この場合も対応範囲が広がるのでトータルとしての制作費用が増大します。
▼「安価がウリの採用サイト」と「成果にコミットする採用サイト」の比較
このように、採用サイトの制作費用は利用するサービスの対応範囲によって大きく異なります。つまり、制作費用を対応範囲の条件なしで比較することにはあまり意味がないと言えます。制作会社の候補は、採用サイトに求める対応内容を設定した上で、その範囲に合致するサービスをピックアップすると良いでしょう。
2.【価格帯別】採用サイト制作の費用相場
採用サイトの制作費用は「無料~50万円」「50万円~200万円」「300万円以上」の大きく3つの区分に分類できます。それぞれの区分でだいたいの対応内容が決まっています。
ここでは、価格帯ごとの対応内容やメリット、デメリットを紹介します。こちらの情報を参考にして、まずは自社の採用活動に合った価格帯を検討してみてください。
無料~50万円 | 50万円~200万円 | 300万円以上 | |
---|---|---|---|
メリット |
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(50万円未満のサービスに比べると)
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デメリット |
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向いている方 |
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無料~50万円:とりあえず安く、早く用意できる
無料~50万円の価格帯のサービスは、採用サイトをとりあえず安く・早く用意することを得意としています。
低価格に抑えられる要因としては、ページデザインをテンプレート化して、デザインまでに至るさまざまな工程をカットできるからです。例えば、無料ツールによく見られる構築済みのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を採用しているケースです。CMSとはサイトに公開するページを管理するシステムです。このシステム内にページデザインをテンプレート化したものを複数種類用意することで、ユーザー自身でデザインを選び、専用のフォームからページ内容を入力して投稿できます。早いものであれば数十分で公開できます。
ほかにも安さをウリとしている制作会社では、サイトにCMSを設けないことで初期費用を抑え、さらにデザイン対応をいくつかのパターンから選択し、実質的にテンプレート化して費用を抑えている会社もあります。
サービス提供社側が各ユーザーに対して個別の対応工数を割かずに済むため、この価格帯でも成立しています。
▼メリット・デメリット・向いている会社のおさらい
◆メリット
- 安価に制作できる
- 短期間で制作できる
◆デメリット
- テンプレートを使うので表現の自由度が低くなりがち
- ページ数が限られるなどの制約がある
◆こういう会社様におすすめ
- 予算がほとんどない
- 求人サイトで接触後の受け皿をすぐに作りたい
ページのテンプレート化についてもう少し考えてみると、他社と構成・デザインが似やすい、あるいは自社らしさに欠ける、十分な情報を届けられない、といったマイナス面が考えられます。この価格帯の場合は、サイト体験を通じたターゲットへの魅力付けには限界があり、他社との差別化は難しいと言えるでしょう。
50万円~200万円:自社ならではのオリジナリティを出しやすい
50~200万円の価格帯であれば、採用サイトに自社のオリジナリティを反映させやすくなります。
基本的には1社ごとにコンセプトやデザインを考えるので、自由度が高まり、自社らしさを表現しやすくなります。ただし、50万円前後のサービスの中にはテンプレートを活用し、自由に作れるページが限定されるケースもあります。価格だけで判断するのではなく、対応内容についてもきちんと目を通す必要があります。
価格を松竹梅で表すと竹にあたり、採用サイトを制作する多くの制作会社がこの価格帯のサービスを取り扱っています。ページ数は、縦長1ページに全コンテンツをまとめる1ページ完結型のものから10~20ページ程度に及ぶものまであり、ページ数によっても金額が増減します。
この価格帯で採用課題に対する戦略立案までを高いレベルでカバーしている会社は少なく、課題と解決のアプローチが曖昧なまま制作して、結果的に採用課題の解決につながらないケースもあります。
▼メリット・デメリット・向いている会社のおさらい
◆メリット
(50万円未満のサービスに比べると)
- デザインの自由度が増し、自社らしさを出しやすくなる
- コンテンツ数を増やしやすい
◆デメリット
- 採用戦略に紐づいて制作できない場合、費用対効果が低くなる
◆こういう会社様におすすめ
- 採用課題に対してどのような採用サイトを作るべきか見えている
- 採用サイトでやりたいことが明確になっている
- まずは採用サイトの見栄えだけでも良くしたい
300万円以上:採用課題を解決できる
300万円以上の価格帯のサービスは、採用課題の整理から対応してもらえるので、課題の解決策を盛り込んだ採用サイト制作が期待できます。
この価格帯のサービスでは基本的に、採用課題を洗い出し、整理した上で戦略を立ててから制作に取り組みます。最も成果が期待できる反面、Webサイト制作費にさらに課題設定や戦略立案の費用が加算されるため、最も高い価格帯となります。また、制作期間も3カ月~6カ月と、ほかの価格帯のサービスに比べて長い期間が必要となります。
▼メリット・デメリット・向いている会社のおさらい
◆メリット
- 採用課題を解決できる
- サイト設計や活用方法などの戦略づくりから任せられる
◆デメリット
- 費用が高くなりがち
- 制作前にヒアリングや分析などの準備が必要で、ほかに比べて公開までの期間がかかりがち
◆こういう会社様におすすめ
- 採用課題を解決するために予算を使いたい
- 課題を解決し、成果をあげるための要件が分からず、プロに相談したい
- 採用サイトの効果的な活用方法が分からず、プロに相談したい
3.採用サイト制作にかけるべき予算の考え方
採用サイトの制作サービスは、価格帯によって対応内容や成果へのコミット度合いが異なることが分かりました。そこで、無駄な出費はもちろんないようにすべきですが、安さだけを考慮すると結果的に成果につながらない出費になってしまうとも言えます。
ここでは、成果を出すためにかけるべき予算のライン、予算額とセットで考慮すべきポイントについて説明します。
成果につなげるためには最低でも300万円かけるべき
採用サイトを作ることで現状を打破し、成果を出すためには、予算を最低でも300万円以上かけたいところです。というのも、300万円未満のサービスでは、採用課題の整理がなされていなかったり、不十分だったりするので、採用サイトを作っても課題を改善できる可能性がぐっと低くなります。
一方で300万円以上のサービスの場合、採用コンサルティングの対応内容が含まれることが多いので、採用課題と戦略に紐づいた採用サイト設計・制作が可能となります。
▼300万円以上かかるサービスと300万円未満で済むサービスの違い
シンプルな失敗例として、デザイン力に定評があるものの課題整理や戦略立案が得意でないWeb制作会社に150万円で採用サイト制作を依頼したケースで考えてみましょう。
◆設定した課題
クライアントとの打ち合わせで悩みとして挙がった「母集団が少ない」をそのまま採用
◆提案した解決策
自社の雰囲気が求職者にもっと伝わるデザインにして応募数を増やす
◆出来上がったサイト
見た目はおしゃれで自社の雰囲気を醸し出すデザイン性が高いサイト
◆結果
母集団は増えたが歩留まり率が低下し、選考にかかる業務が増えるばかりで内定者数は目標に到達しなかった
◆本当の採用課題
母集団のターゲット含有率の低さ
⇒母集団におけるターゲット含有率を高める施策が必要だった
このように、採用課題を見誤ると戦略も間違え、そうすると成果につながらないどころか負担が増える採用サイトを作ってしまうことになります。
ただし、課題や予算状況によっては、300万円以内に収めても成果を出せるケースがあります。例外として考えられる下記2つのケースを見てみましょう。
例外1:課題の解決策としてLP型ページが最適である場合
採用課題の中には解決策としてLP型(縦長1ページ完結型・以下「LP型」で表記)が最適であるケースがあり、その場合は例外的にかけるべき予算が100万円前後で済みます。LP型が最適である採用課題の代表例は、何らかのスカウトやイベントで接触はできた、とりあえずエントリーしてもらった、といった初回接触をしていながら、説明会予約や選考参加などの次のステップにつながらないケースです。このケースでは、自社への興味度合いが低いターゲットに魅力付けとなる情報を伝えつつ、極力読み込む負担を軽減するために、簡潔に1ページで伝えたい情報・メッセージをまとめられるLP型が有効です。
採用課題が「初回接触していて、次のステップにつながらない」と明確になっている場合は、まずはLP型を優先的に制作するだけでも効果が見込める可能性があります。ただし、採用課題が明確になっていない場合は、採用課題を整理できる会社で、かつLP型ページのように予算に応じた対応方法を検討してくれる会社に相談することをおすすめします。
例外2:採用課題に紐づいたサイトを制作したいがミニマムから始めたい
いきなり300万円以上の予算をかけることが難しい場合は、採用サイトに掲載するコンテンツ量を調整し、予算に合うよう重要度が高いコンテンツを優先的に制作できる会社もあります。そして、公開後の状況や予算を考慮しつつ、段階的にコンテンツを拡充します。サイト公開時に向けてまとめて制作するほうがトータルのコストは抑えられますが、様子を見つつ投資していきたい会社には、こういった手法もおすすめです。
採用サイト制作の上流から採用のプロを入れて検討すべき3つの理由
採用課題を解決するサイトを作るためには、制作工程の上流から課題解決の実績を持つプロに入ってもらうべきです。理由は次の3つです。
理由1:採用課題を捉えられる
理由2:採用課題の解決に最適な戦略を立てられる
理由3:採用サイトの活用方法も踏まえてサポートしてもらえる
【理由1】採用課題を捉えられる
採用課題こそが採用サイト制作の根本となり、見誤ると以降の対応が意味のないものになってしまう可能性があるためです。採用課題を捉えるとは、適切なプロセスを経て採用サイトで解決すべき課題を定めることです。例えば、母集団数や歩留まり率などの定量データとヒアリングなどの定性データから採用課題の仮説を立てる、といったイメージです。
【理由2】採用課題の解決に最適な戦略を立てられる
採用課題を解決するための戦略が描けていないと、いくら見た目が良い採用サイトを作っても成果には結びつかないからです。採用のプロが入る場合は、例えば一次選考の歩留まり率改善といった採用課題をもとに解決につながるターゲット・企画・メッセージ・サイト構成を導き出します。
【理由3】採用サイトの活用方法も踏まえてサポートしてもらえる
成果を出すためには、採用活動のどのタイミングで採用サイトをどう活用するのかが重要だからです。採用サイトを作ること自体が目的になっていて、そもそも活用方法を前提として戦略が立てられていないケースも少なくありません。採用のプロに入ってもらうことで、コンテンツを発信するタイミングや各選考フェーズでの活用法についても戦略設計と併せてアドバイスをもらえます。
4.採用サイト制作の費用内訳
採用サイトの制作費用は「スタンダードプラン:80万円~」といった形で、プランの対応内容をまとめた金額を提示されることがよくあります。なおかつ、サービスによって対応範囲が異なり、全体的な金額が分かっても個別の費用項目の相場感が分かりづらい状況にあります。
ここでは、当社で採用サイトを作成する場合の見積もりを参考に、費用項目を「初期費用」「要件定義」「設計」「制作」「進行管理・公開」「分析・改善」の6つの項目に分けて、費用相場をご紹介します。また、その費用項目を用いて、タイプの異なる2つのサービスの対応内容を比較してみます。
【費用項目別】費用内訳と対応内容
採用サイト制作の費用内訳は、かけられる予算額によって変動し、トータルの制作費と同様に一概に相場額が決まっている訳ではありません。今回は費用相場のイメージを掴んでもらうために、制作予算を成果にコミットするために最低限必要な300万円前後とした場合の費用内訳をご紹介します。
下記表では、6つの費用カテゴリについて、300万円前後で制作する場合のそれぞれの費用内訳と対応内容をまとめています。
費用内訳 | 対応内容 | |
---|---|---|
初期費用 | 10万円~ |
|
要件定義 | 10万円~ | 採用サイト活用により解決する課題とアプローチを定義する |
設計 | 30万円~ | 課題を解決するためにあるべき採用サイトの形を設計する |
制作 | 170万円~ ※30ページ程度想定 |
設計に沿って、サイト・ページをデザインし、キャッチコピーや各ページの原稿を制作する。 また、取材・撮影により取得した素材をもとに他社との差別化を図り、ターゲット層に刺さるコンテンツを制作する |
進行管理・公開 | 80万円~ | 要件定義から公開までの制作ディレクションや付帯資料作成などに対応する |
解析・��善 | 10万円~ | 公開後のサイトへの流入状況や採用活動の動向を定量的・定性的なデータを用いて、分析・改善する |
なお、制作会社によっては費用項目の名称が異なったり、統合・分解していたりする場合もあり、こちらはあくまで一例としてご参考ください。
標準的なWeb制作会社型と成果コミット型の費用項目を比較して見えること
標準的なWeb制作会社型と成果コミット型の費用項目を比較してみると、標準的なWeb制作会社には対応できない項目や実施できても精度が低い項目があることが分かりました。
ここでは、標準的なWeb制作会社型を採用サイト制作の実績はあるものの、採用活動自体の支援機能を持たないサービスとします。成果コミット型とは、文字通り採用サイト制作により成果をあげることにコミットするサービスです。
下記表は、比較結果をまとめたものです。
標準的なWeb制作会社型の場合、採用ノウハウが乏しく、特に成果をあげるために欠かせない課題整理に対応できない、または採用課題に即した要件定義が難しいケースが多いようです。その分、費用面で見ると成果にコミットするサービスのほうが割高に見えますが、費用対効果で見ると一概に高いとは言えません。
▼費用項目別の対応比較表
大分類 | 小分類 | 標準的なWeb制作会社が作る採用サイト制作サービス | 成果にコミットする採用サイト制作サービス |
---|---|---|---|
初期費用 | ヒアリング |
△ ※採用課題解決に即した課題整理・戦略立案までは難しいケースあり |
○ |
自社・競合採用サイト分析 | |||
課題整理 | |||
戦略立案 | |||
要件定義 | 要件定義 |
△ ※採用課題解決に即した要件定義までは難しいケースあり |
○ |
基本仕様策定 | |||
進行スケジュール策定 | |||
サイトマップ作成 | |||
設計 | 詳細仕様策定 |
○ |
○ |
ワイヤーフレーム制作 | |||
レスポンシブWeb対応 | |||
制作 | デザイン |
◯ |
◯ |
ライティング | |||
コーディング | |||
撮影 | |||
CMS構築、設定 | |||
進行管理・公開 | 進行管理・制作ディレクション |
○ |
○ |
リリース作業 | |||
チェック・検証作業 | |||
分析・改善 | サイト閲覧データ収集 |
△ |
△ |
分析 | |||
改善・提案 |
標準的なWeb制作会社に依頼する場合は、求職者をターゲットとしたコンテンツ制作に実績があるか、得意としているかを事前に確認してみてください。また、会社によっては、検証・分析について一部対応できないケースがあり、採用サイトを作りっぱなしで終わってしまう可能性があります。費用対効果の最大化を狙うためには、できれば改善までサポートしてもらえる会社がおすすめです。
★おさらいしておきたいポイント
標準的なWeb制作ができる制作会社でも、採用ノウハウが乏しければ採用課題を解決できないので、費用対効果が見込めない可能性がある
5.【制作会社別】採用サイト制作における強みと弱み
採用サイトの依頼先を検討する軸は、価格帯とは別に制作会社のタイプも考えられます。ここでは、制作会社のタイプを「Web・デザイン制作会社」「媒体提供社」「広告代理店」「採用コンサルティング会社」の大きく4つに分類し、それぞれのタイプの費用相場や強み、弱みを解説します。
Web・デザイン制作会社 | 媒体提供社 | 広告代理店 | 採用コンサルティング会社 | |
---|---|---|---|---|
費用相場 | 50万円~200万円程度 | 無料~数百万円程度 | 無料~数百万円 | 300万円以上程度 |
強み | サイト制作についてのノウハウを持っている | 採用ノウハウがあり、自社の業務や課題を把握している | 採用サイトに広告的な作用を働かせられる | 採用ブランディングの観点で課題洗い出しと解決策を考えられる |
弱み | 採用に関するノウハウを持っていない | (媒体掲載の営業担当者は)採用サイトを用いた戦略立案を得意としている訳ではない | 採用に関するノウハウを持っていない | ほかの制作会社に比べて費用が高くなりがち |
Web・デザイン制作会社
費用相場は50万円~200万円程度です。中にはデザインをある程度テンプレート化して、他社よりもコストメリットを出しているサービスもあります。また、原稿や写真をクライアント側で準備・支給としている場合も、自社の負担は増えますがその分コストを抑えられます。
Web・デザイン制作会社の強みは「サイト制作についてのノウハウを持っている」、弱みは「採用に関するノウハウを持っていない」です。サイト構築やコンテンツ制作をメイン業務としているので、この4社の中では最もサイト制作の技術力・知識力が高いでしょう。
一方で、課題設定や戦略立案自体は得意領域外としている制作会社も少なくありません。あくまで課題や戦略が定まっている状態で、そこからサイトやコンテンツとして具現化することがWeb・デザイン制作会社の得意領域となります。
◆強みの具体例
- デザイン性が高く見た目が良いサイトを作れる
- 各ページのコンテンツとしてのクオリティ(分かりやすさ・面白さ)が高い
◆弱みの具体例
- 構成の土台になる採用課題の洗い出しや解決手法の立案ができない
- パンフレット・説明会・SNSなどのほかのツールを紐づけたコンテンツ制作やプロモーションが難しい
実際にWeb・デザイン制作会社に依頼する場合、依頼者側が明確に採用サイトの仕様を指示できないと成果を出すことは難しいでしょう。もし、採用課題が明確になっていて、制作会社にRFP(提案依頼書)を出せる場合は例外です。
採用サイトの制作実績が豊富であれば、企画提案ややり取りの勝手を知っているので円滑に進められます。判断材料の一つとして、採用サイト制作の実績を確認しておくと良いでしょう。
媒体提供社
費用相場は無料~数百万円程度です。中には、テンプレート・専用CMSを用いて無料でサイト制作できるツールを提供する会社もあります。そのほかはほとんどがグループ子会社や外部のWeb制作会社に依頼するパターンです。最近では、自社内にサイト制作部隊を設けて、対応するケースもあります。
媒体提供社の強みは「採用ノウハウがあり、自社の業務や課題を把握している」、弱みは「(媒体掲載の営業担当者は)採用サイトを用いた戦略立案を得意としている訳ではない」です。
媒体主として多くの企業の採用課題に取り組んでおり、担当によってばらつきはあるものの媒体の掲載営業自身が採用ノウハウを持っています。一方で、採用サイトを用いた課題解決のノウハウは、媒体掲載の営業担当があまり得意としない領域です。その部分をグループ子会社や自社で保有する採用サイト制作部隊が補います。
◆強みの具体例
- 採用課題を洗い出すことができる
- 求人媒体に掲載するための取材で得た情報をもとに採用サイト用原稿を制作できるので制作費を削減できる
◆弱みの具体例
- 採用サイト制作に関しては、普段接している媒体掲載の営業担当から採用サイト制作部隊にバトンタッチされがちで、新たに信頼関係の構築が必要になる
- 原稿制作費は抑えられる一方で、グループ子会社やWeb制作会社に依頼することが多くなるのでトータルで見ると割高になるケースもあります
求人広告サービスを通じて自社の業務や悩みをある程度理解してくれており、担当者のノウハウ次第では、採用課題を洗い出して整理してもらえます。
ただし、採用サイトを用いた戦略立案の段階からは、メインの担当者が普段から接している媒体掲載の営業担当から採用サイト制作部隊のメンバーにバトンタッチされがちです。そのため、これまで接してきた年月による安心感、コミュニケーションの取りやすさ、「1」言えば「10」分かってくれる“つうかあ”の関係性が、そのまま引き継がれるとは限らない点に注意が必要です。また、依頼側としても成果を出す採用サイトを作るためには、新たな担当者に対して課題感や要望を改めてきちんと伝える姿勢が問われるでしょう。
広告代理店
費用相場は無料~数百万円万円程度です。業界の傾向として大手広告代理店の場合は割高になりがちです。
広告代理店の強みは「採用サイトに広告的な作用を働かせられる」、弱みは「採用に関するノウハウを持っていない」です。広告制作のノウハウを採用サイトにも生かすことで、ターゲットにより刺さるコンテンツ制作を期待できます。一方で、採用活動自体のコンサルティングは範囲外なので、採用に関するノウハウも乏しいでしょう。
◆強みの具体例
- 想定する求職者層に刺さるキャッチコピーやコンテンツ企画、デザインを考えられる
◆弱みの具体例
- 構成の土台になる採用課題の洗い出しや解決手法の立案ができない
採用ノウハウが十分にないので、採用課題が不明瞭な状態で依頼するには不安があります。一方で、ターゲットに響くコンテンツ設計や表現を得意としており、採用課題に対する戦略が明確に定まっている場合は効果を期待できます。
従来は、広告代理店から外部のWeb制作会社に制作部分を委託するケースが主でしたが、最近では自社でサイト制作部隊を持つ、あるいは自社グループの制作会社と連携するケースも増えています。依頼する場合は、戦略を設計する担当者と制作部隊の連携が取りやすい体制であることも判断基準の一つとなるでしょう。
採用コンサルティング会社
費用相場は300万円以上です。課題整理・戦略立案から対応するので価格帯が高くなる傾向にあります。社内にサイト制作部隊を持っている会社であれば、戦略設計とサイト設計・コンテンツ制作の連携が取りやすく、コストの面でもメリットを出しやすいでしょう。
採用コンサルティング会社の強みは「採用ブランディングの観点で課題洗い出しと解決策を考えられる」、弱みは「ほかの制作会社に比べて費用が高くなりがち」です。採用活動のプロとして当然採用ノウハウを持っており、採用サイト制作にも生かせます。
一方で、会社によっては自社でサイト制作の部隊を持っていないケースがあり、その場合はWeb制作会社にはサイト制作の技術・知識が劣ります。また、価格面で比べても割高になりがちです。
◆強みの具体例
- 採用課題を整理して、採用サイト活用により解決すべき課題を明確にできる
- 課題解決における、接触したいターゲット、伝えるべきメッセージ、コンテンツ企画を論理的に提案してもらえる
◆弱みの具体例
- Webで調べていた採用サイト制作の費用感よりも高く、予算を獲得するのが難しい
採用コンサルティング会社の取り組み方は、原則採用課題の解決に重きを置いています。そのため、活用方法や運用のアドバイス、運用しながらの分析改善といった、採用サイトをより効果的に活用し、成果に結びつけるサポートを受けられます。会社によってサポートの質・頻度・料金が異なり、依頼先を検討する上でその点も判断材料としておきたいポイントです。
ここまで、Web・デザイン制作会社、媒体提供社、広告代理店、採用コンサルティング会社の4つのタイプの強みと弱みを見てきました。それぞれのタイプを比較しやすくするために、「かかる費用」と「採用サイトによる成果の期待度」の2つの軸で4つのタイプのポジションを表してみました。
▼主要な制作会社4タイプのポジション図
図では、4つのタイプに加えて、費用対効果が最も高いタイプとして「採用コンサルティング+Web制作機能を持つ会社」を新たに設けました。イーディアスは、採用コンサルティングとWeb制作の機能を有しており、費用対効果が最も高いタイプに該当します。課題整理からサイト制作まで一気通貫で対応できるので、採用コンサルティング専門会社よりも費用を抑えられ、高いクオリティの採用サイトを作り、成果にコミットします。
6.成果にコミットする業者を選定するときの3つのチェックポイント
費用相場や制作会社のタイプから依頼先の候補をピックアップしたら、最終的には最も成果を出せる1社を選ばなければなりません。最後に、成果にコミットする制作会社を選ぶための3つのチェックポイントを解説します。
(1)採用に関するコンサルティング能力がある
(2)効果的なWebサイトを制作できる体制を持っている
(3)RFPに対して質の高い提案ができる
(1)採用に関するコンサルティング能力がある
成果にコミットする採用サイトを制作するためには、まずその会社が採用に関するコンサルティング能力、実績を有していることが重要です。
なぜなら、採用課題を洗い出して戦略を立てられないと、課題解決の手段として有効なサイトを制作できないからです。そして採用課題の洗い出しと戦略立案には、採用に特化したコンサルティング能力が必要です。
▼具体的なチェックポイント
- 採用課題を洗い出す、整理するときのプロセスを確認する
コンサルティング能力の有無や程度をチェックするポイントとしては、採用課題を洗い出す、整理するときのプロセスの確認が有効です。顧客へのヒアリング・競合調査・データ分析といったプロセスを踏まない場合は、どのようにして論理的な提案を作り込むのか問いかけてみて納得できない回答であれば、依頼を考え直しましょう。
(2)効果的なWebサイトを制作できる体制を持っている
コンセプト設計やデザイン、取材、ライティングなどの機能を持っていて、それらを戦略に沿って使える体制を持っていることが重要です。
その理由は、たとえ戦略が立派でも、最終的に採用サイトのデザインやコンテンツなどに具現化できなければ意味がないためです。採用課題を解決するためには、戦略が採用サイト上で適切に具現化されなければなりません。
▼具体的なチェックポイント
- 写真や原稿を基本的にこちらから支給しなければならない、またはページデザインをテンプレートから選ぶタイプかどうか
- ディクレション・デザイン・取材・ライティングの役割が揃っているかどうか
- 過去の制作実績では上記の役割が具体的にどんな機能を果たしたのか
写真や原稿を依頼者側から支給する、またはページデザインをテンプレートから選ぶ場合は戦略に沿った制作が厳しいでしょう。ディクレション・デザイン・取材・ライティングの役割が揃っていない場合も同様です。過去の制作実績での体制を質問してみると、聞き出しやすいでしょう。制作に力を入れている会社であれば、こだわったポイントなども自然と出てくるはずです。
(3)RFPに対して質の高い提案ができる
RFP(提案依頼書)に対して論理的で納得感がある質の高い提案をしてくれる会社は期待できます。RFPとは提案依頼書と言われ、依頼先に対して要件や解決すべき課題、実現したい状況などを書面にまとめたものです。
コンサルティング能力の有無や制作体制を確認できたとして、実際の成果物のできばえを予測することはほぼ不可能です。そこでRFPを用意し、提案してもらうことで課題への対応レベルを測ることができます。また、提案を通して解決策のイメージが湧き、依頼する会社を決めやすいというメリットもあります。
▼具体的なチェックポイント
- 提案内容が具体的で論理的である
- 課題解決を実現できるロジック、プロセスが明確に示されている
具体的なチェックポイントとしては、「提案内容が具体的で論理的である」「課題解決を実現できるロジック、プロセスが明確に示されている」といった点が挙げられます。
ただし、採用課題が明確でない中でRFPを作成するのは難しい方も多いと思います。難しい場合は、課題の洗い出しから提案を求める形でも良いでしょう。また、制作会社によってはRFP作成をサポートするサービスもあるので利用してみても良いでしょう。イーディアスでもご支援できますので、気になった方はお問い合わせください。
7.まとめ
採用サイトの制作費用は幅広く、「安いから」「おしゃれでかっこいいWebサイトを作ってくれるから」といった理由だけで選ぶと、成果につながらない残念な結果に終わってしまいます。
最後に本記事での重要なポイントをおさらいします。
- 費用が安い=サイトやコンテンツの自由度が低い、成果にコミットできない
- 費用相場をサービスの特徴で分類すると「無料~50万円」「50万円~200万円」「300万円以上」
- 成果にコミットするためには、「採用課題を整理する」「課題をもとに戦略を立てる」が必要で、そういったサービスだと300万円以上の予算が必要(一部のケースで例外あり)
- 標準的なWeb制作ができる制作会社でも、採用ノウハウが乏しければ採用課題を解決できないので、費用対効果が見込めない
- 成果につながる採用サイトを作るためには、採用コンサルティング機能と採用サイト制作ノウハウを併せ持っている会社がおすすめ
記事の内容をもとに採用サイトにかける費用を検討いただければ、自社の目的に合った制作会社を見つけることができ、適切な予算を組めるようになります。